私は成瀬さんの部屋を知ってるから想像しやすいし決めやすかったけど、どんな部屋に住んでるのか分からないのではさすがに決めるのは難しいだろう。成瀬さんも困るか。私は口をへの字に下げた。
「そ、そっか……でもなんか不公平ですよ! 私あんな重大な決断をしたというのに」
「大げさだなあ」
「成瀬さんに決めてもらえばお互い様だって思ったのに」
「うーんでも女の子の部屋の家具適当に決めるのもなあ」
成瀬さんも考えるようにしたあと、すぐに良案が浮かんだような顔をした。そして私の隣りに少しだけ近づき、やや声のトーンを落として言った。
「じゃあさ。佐伯さんのテーブルは、また次買いに来ない?」
「え?」
「佐伯さんの部屋を見てから俺が決める」
よし決まり、とばかりに彼は頷くも、私はぽかんとして動けずにいる。成瀬さんにテーブルを選んでほしいって言ったのは確かに私だけど、だけど……。
え、それって成瀬さんを私の部屋に招待する流れになってしまっているのでは?
「あ、あの成瀬さ」
「あ、ほらネットでも買えるんだって。今日目ぼしいやつ見といて、後で選べばいいんじゃん? そうしよ。すみませんガラス製のテーブルってどのへんですか」
口を挟む暇もなく、成瀬さんはどんどん話を進めていく。寝てるばっかりの時とは別人のように、物事がスムーズに運ばれるので私はついて行けない。
なんとも自然な流れで彼に部屋を見せる約束を……。
改めてそう思った途端、自分の顔が瞬時に熱くなったのを自覚した。なぜだろう、緊張が凄い。いやいや、普通だよね、先輩を部屋に招待するんだもん。あんなに平然と部屋に来ることを決めちゃう成瀬さんが変なんだよ。
戸惑ったままおろおろしてる私に、離れたところから成瀬さんが声を掛けてくる。
「ほら佐伯さん! これとかどう? お洒落な感じ」
無邪気に家具を選ぶ成瀬さんを見て緊張が抜ける。私は苦笑いしながら、彼に駆け寄った。
「そ、そっか……でもなんか不公平ですよ! 私あんな重大な決断をしたというのに」
「大げさだなあ」
「成瀬さんに決めてもらえばお互い様だって思ったのに」
「うーんでも女の子の部屋の家具適当に決めるのもなあ」
成瀬さんも考えるようにしたあと、すぐに良案が浮かんだような顔をした。そして私の隣りに少しだけ近づき、やや声のトーンを落として言った。
「じゃあさ。佐伯さんのテーブルは、また次買いに来ない?」
「え?」
「佐伯さんの部屋を見てから俺が決める」
よし決まり、とばかりに彼は頷くも、私はぽかんとして動けずにいる。成瀬さんにテーブルを選んでほしいって言ったのは確かに私だけど、だけど……。
え、それって成瀬さんを私の部屋に招待する流れになってしまっているのでは?
「あ、あの成瀬さ」
「あ、ほらネットでも買えるんだって。今日目ぼしいやつ見といて、後で選べばいいんじゃん? そうしよ。すみませんガラス製のテーブルってどのへんですか」
口を挟む暇もなく、成瀬さんはどんどん話を進めていく。寝てるばっかりの時とは別人のように、物事がスムーズに運ばれるので私はついて行けない。
なんとも自然な流れで彼に部屋を見せる約束を……。
改めてそう思った途端、自分の顔が瞬時に熱くなったのを自覚した。なぜだろう、緊張が凄い。いやいや、普通だよね、先輩を部屋に招待するんだもん。あんなに平然と部屋に来ることを決めちゃう成瀬さんが変なんだよ。
戸惑ったままおろおろしてる私に、離れたところから成瀬さんが声を掛けてくる。
「ほら佐伯さん! これとかどう? お洒落な感じ」
無邪気に家具を選ぶ成瀬さんを見て緊張が抜ける。私は苦笑いしながら、彼に駆け寄った。



