必死な声で私にそう告げた。今までも見たことがないくらい真面目な表情で、私の頭の中に大和と過ごした日が蘇った。
たかが一年、されど一年。二週間前のあの日まで、私は本当に幸せだった。
「……これからじゃない。
これまでに裏切らなかったか、が重要なの」
私はかみしめるようにゆっくり言った。
「酔った勢いだろうが魔が差したんであろうが、私という存在がいたのに止まれなかったという、その事実が大きいの。大和とこれから先のことは考えられない」
「志乃のことずっと脳裏によぎってた、でも強く迫られて断れなかったっていうか」
「断れなかった。それが答えなの」
私は意見を覆さない。これ以上一緒にいては情が移りそうなので、すぐさま視線をそらして歩き出した。そんな私の正面に大和が経つ。再び足を止めて見上げた。
「志乃は俺のこと本当に好きだった?」
「え?」
「そう思えない。本当に好きだったら、あんな瞬時に俺との関係を断ち切れるのかなって。今だって、考えるそぶりもなく全然ぶれないし」
「好きだったから許せないんだよ!」
つい声を荒げてしまう。大和も少したじろいだ。泣いてしまいそうな顔で、大和を思いきり睨む。
「分からないの? 好きじゃなかったら放ってるよ。好きだったから許せなかった、それが全てだよ。だからこそ苦しくて悔しくて怒った。でもそんなことしてても何も始まらないって分かったから、忘れることにしたの。私は私らしく頑張って前を向いて行こうって思ったんだよ!」
大和は何も言わなかった。口を固く結んで、じっと私を見ている。私は今度こそ歩き出し、その場から去ろうと先を急いだ。
そんな私の背中に大和がいう。
「でもきっと、志乃には絶対俺が合ってると思う。絶対またこっち見てくれる、俺は知ってる。この一年を思い出せば、志乃も分かるだろ、俺たちはすごく相性が良かった」
返事すら返さず、私はその場から立ち去った。
たかが一年、されど一年。二週間前のあの日まで、私は本当に幸せだった。
「……これからじゃない。
これまでに裏切らなかったか、が重要なの」
私はかみしめるようにゆっくり言った。
「酔った勢いだろうが魔が差したんであろうが、私という存在がいたのに止まれなかったという、その事実が大きいの。大和とこれから先のことは考えられない」
「志乃のことずっと脳裏によぎってた、でも強く迫られて断れなかったっていうか」
「断れなかった。それが答えなの」
私は意見を覆さない。これ以上一緒にいては情が移りそうなので、すぐさま視線をそらして歩き出した。そんな私の正面に大和が経つ。再び足を止めて見上げた。
「志乃は俺のこと本当に好きだった?」
「え?」
「そう思えない。本当に好きだったら、あんな瞬時に俺との関係を断ち切れるのかなって。今だって、考えるそぶりもなく全然ぶれないし」
「好きだったから許せないんだよ!」
つい声を荒げてしまう。大和も少したじろいだ。泣いてしまいそうな顔で、大和を思いきり睨む。
「分からないの? 好きじゃなかったら放ってるよ。好きだったから許せなかった、それが全てだよ。だからこそ苦しくて悔しくて怒った。でもそんなことしてても何も始まらないって分かったから、忘れることにしたの。私は私らしく頑張って前を向いて行こうって思ったんだよ!」
大和は何も言わなかった。口を固く結んで、じっと私を見ている。私は今度こそ歩き出し、その場から去ろうと先を急いだ。
そんな私の背中に大和がいう。
「でもきっと、志乃には絶対俺が合ってると思う。絶対またこっち見てくれる、俺は知ってる。この一年を思い出せば、志乃も分かるだろ、俺たちはすごく相性が良かった」
返事すら返さず、私はその場から立ち去った。



