成瀬さんの服を買い終えた後、二人でぶらぶらと街を散策する。並んで歩きながら、どうでもいいことを話していた。寒さは厳しいが、爛々と私たちを照らす太陽の日差しが温かかい。お出かけ日和、とはこういう日を言うんだと思った。

 私の隣りで周りをぼんやり眺めながら、成瀬さんが尋ねた。

「あー服も買ったしよかった。ここまで出てきたんだから色々やっとかないと損だよね」

「あはは、成瀬さんが仕事以外で外に出るなんてレアですもんね」

「いい加減服増やそうって思ってたんだよ。そういえば佐伯さんはどういうとこで服買ってんの?」

「ええっと、結構リーズナブルなところが多いですよ。シンプルな感じが合わせやすいし好きです」

「ふーんあそことか?」

「ああ、そうですね、結構買います」

「よし見よう!」

「え、あ、ちょっと!」

 近くにあった店に突然方向を切り替えて入っていく。私は三枚しか服がない成瀬さんと違ってそれなりに持ってるので、今日は買い物するつもりはなかったのだ。それに、成瀬さんの横で服を選ぶというのもなんか恥ずかしい。

 自動ドアを抜けて温かな空気に包まれる。中にはそれなりの人が服を見ていた。私は声を潜めて言う。

「成瀬さん、私今日は特にほしいものは」

「あれとかは?」

 聞いているのかいないのか、彼はすぐさま近くにあった服を手に取った。白いセーターだった。さっき、似たようなやつを成瀬さんに選んだ気がするのだが。

「あったかそう。ふわふわで気持ちよさそう! どう?」

「は、はい、可愛いと思いますけど……」

「これに合うやつはどれかなー」

 そう言われたので、私もつい反応してしまった。近くにあるネイビーのスカートを手に取ってみる。

「白なら何でも合いますよね、これとか……ちょっと可愛らしすぎるかな」

「いいじゃん可愛いね」

 即答で言われた。私は苦笑いして、今度は近くの茶色いパンツを手に取る。

「これとか」

「うんうん可愛い」

「これは結構奇抜な柄です」

「でも可愛いよ」