やっぱり当然のように私も一緒にあの部屋に帰ることになっている。でも果たして、いつまでお邪魔してればいいんだろう。大和のことも一応片付いたしなあ。

 そんなことをぼんやり考えていると、成瀬さんがこちらを覗き込んだ。

「どうした、ぼーっとして」

「あ、いいえ! 今日は色々あって、疲れたなって。まあ私より成瀬さんですが」

「そうだねー疲れたねー」

「本当にありがとうございました」

「いいってそんな何度も。ぶっちゃけ高橋さんは上司の報告まで考えてなかったんだけどね。裏でそそのかしてるのがあの子って分かった途端我慢できなくなった。まあでも、仕事中の態度はどのみち問題あったから、いずれはああなってただろうね」

「女子社員たちの中の成瀬さんの株が爆上がりです……」

「いや、俺もそこまでは気づいてなかったし。やっぱり女性はよく見てるよね」

 確かに、男性社員はみんなメロメロって感じだったもんなあ。今回こんなことになって、高橋さんをちやほやしてた人たちは気まずそうにしていた。

 あっと思い出したように、成瀬さんが言った。

「佐伯さんの元カレ、多分すぐいなくなるとは思うけど、まだまだ油断禁物な」

「あ、そうですね……」

「佐川部長は理解あるし決断力もあるからよかったよ」

「成瀬さんのプレゼンのおかげでもありますよ!」

「はは、プレゼン! あ、そういえば佐伯さんのアパートも引き払って荷物持ってこなきゃねー俺も手伝うから」

「ええ、そうです……え!?」

 驚きで足を止めてしまった。数歩先に進んでいた成瀬さんがこちらを振り返る。きょとん、として私を見ていた。