とりあえず、今の神楽にはそういうのがいいだろうと黎は思った。神楽はじっと見ている。

 「……彼女が友達としてお前を認めたならいいんじゃないか?俺が友人関係に口だしなどできない」

 「そうだな。どこぞのお嬢様じゃあるまいし、友達も選べないんじゃ可哀想だ。彼女は演奏活動がないときは何をしているんだ?」

 「大学で教えている」

 「なるほど。東京か?」

 「ああ。詳しいことは本人に聞け。俺もあまり言いたくない」

 神楽の様子からうかがえることはあったが、マネージャーとしてなのか、本人としてなのかわからない。
 とりあえず、黎は彼女に近々接触しようと決めた。