ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない


 「お前、御曹司だろ?兄弟男他に居ないし、次期社長だろ?」

 黎は頭を振った。

 「まだわからん。叔父もいるし、いとこもいる。そう、甘い世界でもない。俺にその覚悟は一応あるが、周りがどう思うかは別問題だ」

 神楽は驚いた。そんなこともあるのかと黎をじっと見つめる。

 「お互い頑張ろう。そうだ、プレゼンいつになる?コンサートの日程も考えて海外に出ないときがいいんだが……」

 ふたりはスケジュールを確認して、最悪ゴールデンウィークまでになんとかしようと決めた。
 
 ゴールデンウィークはとにかくイベントが多い。
 神楽も忙しいのだ。