ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 
 「百合。今日は父さんと母さんが匠と一日遊んでくれるそうだ。奈津もいるし、柿崎の子も一緒に遊ぶらしい」

 「え?聞いてないけど。そうなの?私久しぶりのお休みだから、美容院へ行ってから匠と遊んであげようかなと思ってたのに……この間、私のピアノを聴いて楽しそうに両手両足動かして笑ってくれたの。今日もやってみようと思ってたの」

 黎はしずかに扉を閉めると鍵をかけて、鏡台に向かっている百合の後ろから抱きついた。

 「どれだけ俺が苦労してこの日を作ったと思ってる。今日こそは俺と一日過ごすんだ。百合は俺のことだけ見てろ。よそ見禁止だ」

 「一日何して過ごすの?お出かけ?どこか連れて行ってくれるの?」

 黎に連れ出してもらうのが大好きな百合は目を輝かせて、黎の手を上から握ると後ろを振り返った。

 「父さん達が出かけたら少しここでゆっくりしようか。百合は最近匠を寝かしつけると側ですぐに寝てしまうからな」