ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない


 神楽が間に入って、静香を睨み付ける女性に話し出した。彼女は驚いて、きびすを返していなくなった。

 黎は百合たちを連れて静香と神楽の所へ戻った。

 「神楽ありがとう。静香、百合を助けてくれたのはいいがもう少し穏便に頼むよ」

 神楽が苦笑いしながら答えた。

 「彼女は百合を庇ってくれたんだろ?俺も役に立って良かったよ。大丈夫ですか、お嬢さん」

 「……え?ああ、ありがとう」

 静香は真っ赤になって神楽を見つめている。黎はそんな静香を見て驚いた。

 「静香。彼は神楽といって、音楽プロダクションの経営と百合のマネージャーもしてくれている俺の学生時代の同級生だ」