ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない


 「ほら始まった。すぐネガティブになる。君は大人の女だろ……俺を夢中にさせてるくせに。ちょっと天然だけどね。そこがいいんだよ」

 「天然ってひどい」

 「可愛いっていってんだよ。よし、そうと決まったら早速イギリス行きの準備をして、母さんに連絡しよう。喜ぶぞ、会いたがっていたからな」

 「それより先に、お披露目が終わったら日本でデートしてくれる?夜お仕事終わってからでもいいの……」

 上目遣いにまた聞いてくる。

 「ああ、もちろんだ。久しぶりだよな、俺も一緒に出かけたかったよ。百合はどういうところに行きたいんだ?」

 「黎が考えてくれるところならどこでもいいの。前もそれで楽しかったの。私あんまりいい場所知らないから……」