乗りかかってきて至近距離で目をキラキラさせて話し続ける百合に、黎はドギマギしてしまった。二人だけがいいと何度も言う。イギリスも二人だけで行きたいと言う。確かに、執事というか柿崎のような人間が付いてくることが多いので、百合はそういうとき自分に近寄らず、話しかけないようにしているようだった。
「……百合」
「ん?なあに?」
「子供みたいにはしゃいでいる百合が久しぶりで、こういうところが好きだったんだと思い出したよ」
百合は顔を赤くしてうつむいてしまった。
「……どうせ、幼いですよ。知らないことも多いし、恥ずかしいから、自信がないの」
黎は身体を起こして向き合った。



