ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない


 「新婚旅行へイギリスに行こうか。今やっているプロジェクトにめどが立ったらそういう休みをくれると会社で言ってたんだ」

 「ホント?嬉しいー!」

 百合は首に抱きついてきた。黎はソファーへひっくり返ってしまった。

 「おい、百合!」

 「楽しみだわ。ねえ、黎。イギリスに詳しいんでしょ?何度も行っているんでしょ?だって、あのときも紅茶の美味しい素敵なカフェに連れて行ってくれたじゃない」

 「あ、ああ……」

 「すごく楽しみ。黎とデート。前も美術館とか色々一緒に行ったけど、その後に素敵なお店へたくさん連れて行ってくれたわよね。また、そういうお店に連れて行ってくれる?」