「そんなわけないだろ。母さんなんて、半月近くこっちにいたことだってある」
「そうなの?でも私は別よ。まだ結婚したばかりだし、契約だし。あとね……三ヶ月に一回でもいい。自分のやりたいリサイタルをさせて欲しい」
「……百合。仕事は君の希望を叶えるって言っただろ?」
「……そんなの無理。だって、お仕事っていってもあなたの会社やグループのためのものよ。私の好きに選曲や会場の広さを指定出来るはずないじゃない。私からこういうところでこういう曲をっていう提案を先にしたいの。私が決めるリサイタルをさせて欲しいの」
「もちろんいいよ。なんだ、そんなのわがままじゃないぞ?俺にわがままなお願いをするんじゃないのか?」
「あと……黎と二人だけでデートがしたい。それでね……運転手さんとか連れてこないで欲しいの。お願い。ふたりがいいの。ずっと外へ一緒に出かけられなかったから……それから、出来れば私もイギリスのお母様にお会いしたい」



