ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない


 「守るなら、お前が勝手にしろ。しかし、会社を巻き込むのだけは許さん。その娘が炎上する前にウチと手を切るように契約を変えるんだ」

 「契約期間満了を待たずに解約なんてしたら、大損すると思いますよ。それでもいいんですか?」

 「お前は俺の息子だが、会社も俺の息子だ。勝手は許さん。少なくとも、お前がその女といずれ別れざるを得ないとしても、素性がばれて炎上するほうがおそらく先だろう。リスクは最小に留めないとな」

 「わかりました。援助は私の個人資産でやります。私名義の別な会社を作りますから……」

 「……なんだと?」

 「私はいずれ自分のコンサートホールを作るのが夢だと前話したのを覚えていますか?本気ですからね」

 「勝手なことを。副業は許さん」