バン!というすごい音を出して、机を叩く。父が怒っている。久しぶりに見た。
「……問題だらけだ。大臣の隠し子というだけならいいが、母親は愛人といっても、水商売。どう説明してもスキャンダルになるだろう」
「私は芸能人ではありませんから、関係ありませんよ。それに、どうやら父親は母親のことを隠して良いところだけ娘として百合を晒そうとしていると聞いています。何かあれば守るのがこちらの役目ですよ。所属アーティストであり、稼ぎ頭であり、俺にとって大切な女性ですからね」
息子の光る目を見て、簡単には別れることに応じないだろうと思った。だが、会社が巻き込まれるのだけは許すことはできない。
「お前の女との契約は終わらせる。いいな」
「……言うと思いましたよ」



