「そうだな。百合も忙しくて大変そうだ」

 神楽は射貫くような瞳で黎を睨んだ。

 「……呼び捨て……そういう関係になったか」

 「ああ、そのことは後で。とにかく、来年の契約終了時を待たずに出資金を増やす方向で検討中だ。あと契約内容を一部見直したいと思っている。そのことは了承してもらえるか?」

 「ああ、わかった。上には伝えておく。結局、金次第らしいよ、彼らも……」

 神楽はあきれ顔で言う。黎は笑い出した。

 「まあ、そうだろうな。出来ないことが出来る上に、想像以上に新人が売れて、思わぬ余波が来た。甘い蜜に群がってきたって不思議じゃないよ」