ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 
 「どうしたのじゃないぞ。俺がわざわざ何のためにここへ来たと思ってる?今日も来るかもしれないと百合に会いたくて来たんだ。それなのに、何が仕事だ!そんなものここでする必要はない」
 
 「え?そうなの?」
 
 「そうなのじゃない。百合。わかってないだろ?俺と百合は……」
 
 「はいはい。お付き合いしてるんですよね?」
 
 百合が笑って答えた。こいつ絶対意味わかってないだろ。
 
 「じゃあ、恋人しかしないことをしたいっていったらどうする?」
 
 百合は口をつぐんで真っ赤になった。