黎にこの夜景の見える大人の雰囲気のあるところで今の言葉をもらったことが、百合にとってどれだけ彼を意識するきっかけになったのか、わかっていない。 「私、ここへ来たら噂にならないかしら?外でお会いすると噂になるんでしょ?」 上目遣いに黎を見ながら聞く。黎は嬉しそうに答えた。 「そうだね。ここで密会しようか」 「え?」 黎は彼女のとなりに座った。そして手を握り彼女に言う。 「百合さん……俺の特別な人になってくれる?」 「……特別な人って何?ピアノを弾く人?」