入学式から三日目。


彼女は鴨中を仕切るテニス部のこっわい先輩から早速呼び出された。


しかし、彼女は金髪のままである。


そこかしこで彼女の噂が広まる。


「ねぇ、春子聞いた?彼女、先輩達全員殴り倒したらしいよ…」


「ねぇ、春子知ってる?一ノ宮って今芸能界からスカウトきてて、事務所の人がイジメって聞いて、乗り込んできたらしいよ」


「ねぇ、春子〜、一ノ宮ってお母さんもお父さんもいないんだって、ほら、この前、隣町で火事あったでしょー、あの家の子らしいよ〜」



暇で退屈な片田舎の中学女子にとって、一ノ宮の提供してくれる毎日のゴシップは、かなりの刺激物として歓迎された。



しかし、いったいどこまでが本当で、本当でないかは、何一つとして定かではない。



春子にとっては一ノ宮の存在は、ただ、出席番号順で決められた、席の隣が一ノ瀬くんでうらやましいなぁ…


なんてそれくらいの興味しかなかったので、全てのウワサ話はどうだってよくて、つまらない。



一体、どうして女子は噂話がこんなに好きなんだろ?


春子は少しうんざりしていた。