「口でしてくれ」

 風呂からあがりさっさと寝るのかと思われた夫が不意に話しかけてきた。頭をフル回転させて意味を汲みとる。

「あ、うん。いいよ」

 その場でしゃがんでズボンに手をかけた。

「バカ、そんな色気のない格好でイケるかよ、着替えろ。そーだなあ、ミニワンピ系、俺が買ってやったやつ」

 ああ、コイツやり損ねたから私で我慢しようと。しかも抱くのは面倒だから口でしろと。

 文句のつけどころがないクズっぷりは逆にありがたい。確固たる意思を保ち続ける事ができるから。

 部屋でしか着ることのないピタピタのミニワンピは両肩が丸出しで、本当にこれを着て外を歩く女がいるのかと疑いを持った。

「おー、良いじゃん、良いよ」

「うん」

 固いフローリングに膝をついて丁寧に奉仕するがまったくイク気配がない。酔っているから余計に。

 すると頭を両手で持たれ固定されると激しく腰を振ってきた。無駄にデカいあれが喉にあたり、えずくがお構いなしで振り続ける。やがて呼吸が荒くなってきた。

「あー、やばい! いくぞえりこ!」

「ガハッァ、ハァッハッ」

 その場に四つん這いになり咳き込む私になんの言葉もかけずに夫は寝室に消えた。

 よく今まで殺されなかったな、それとも私だけ? こんな扱いを受けているのは。

 ムラムラと湧いてくる殺意、いつからか金をぶん取るだけでは気が済まなくなっていた。

 それはもう当然の想いだよね。虚空に漂うもう一人の自分に問いかけた。

 床にぶちまけた精液をティッシュで拭き取りながら。静かに。