トントン

不意に肩が叩かれて後ろを振り返ると、広野先生だった。

「ちょっとおいで。大丈夫、怖いことはしないから。」

そう言われて広野先生と先生の診察室に来た。

「今日、雅さん休みだったね。真城さんも上がりだっけ?」

「…。」

やだ。奏、瀬菜1人にしないで、怖い。助けて。

「ハァハァ…ハァハァハァハァ…ゴホツ…ハァハァハァハァ…ゲホゲホ…」

「おっと。考えすぎちゃったね。ゆっくり深呼吸しようね〜」

「ハァハァ…スゥ…ハァハァハァハァ…ハァ~ハァハァ…スゥ…ハァ~」

だんだん楽になってきた、怖かった。

「ん、もう大丈夫そうだね。仕事どうしよっか。仲良い子いるかな?」

「…ぃや…」

これは本当にそう。こんな私と仲良くしてくれるのは2人だけ、あとはみんな好奇な目で見てくる。

「そっか、どうしよっかな…。今日俺、回診でさ、それなら大丈夫かな?」

「患者さん…どなたですか?」

私はとにかく体力がない、それに体も弱いからあまり走れない…。

「あ、病室逃げ出す子はいないから、大丈夫。」

「…行きます。」

「おっけー、じゃあ早速行こうかな。」