―――明るい部屋。


ここはドコだ?

目がチカチカしそうな位明るい

見覚えのあるベッド
見覚えのある時計
見覚えのあるクッション




私の部屋だ

あまりに明るくて
分かんなかったんだ


―――トントンッ

誰かが私の部屋のドアを叩く。

なぜだろう?

優しくて安心する音。

「…はい」


「入るよ」

この声は……お兄ちゃんだ


怒りに来たのかな?



店長と一線を越えた関係になって
本当に幸せになれる訳ないだろって
怒りに来たのかな?


「…どうぞ」

―――カチャ

「よっ。さく久しぶり」

「うん………怒りに来たの?」

「何を?」

「…今日の事。
…店長とそういう関係になったから…怒りに来たんでしょ?」

「…さくはソレで良いんだろ?」

「うん…。
だってね凄い幸せだったんだもん」

「うん。そっか、」

とびっきりの笑顔のお兄ちゃん
「俺はさくがソレで良いと思ったなら良いと思うよ?
幸せって…1つじゃないからね
人それぞれの幸せがあるから
さくにとってソレが幸せなんだろ?」

「うん!」

「そしたら、自分の気持ちのまま突き進め。
俺が言えるのはそれだけだよ」


「ありがとう」

「じゃあな」

そう言うとお兄ちゃんは
スーッと消えていった



ありがとう
お兄ちゃん









―――ドン!

痛っっ!!!

手の甲をベッドの柱にぶつけた



夢だったの?


さっきまで見ていた
私の部屋。


お兄ちゃんは

いない

お兄ちゃん私にエールを送りに来てくれたんだ。

お兄ちゃん。
見守っててね


不器用な私だけど
幸せになれないかもだけど

見守っててね