2人の体が離れた時は

冷え切った店長の体は
ポカポカになっていた


「さくらちゃん…カイロみたい」


そう言ってニッコリ笑った店長


愛おしくて仕方ない

「店長は…氷みたい」


そう言って私も笑った


「氷だったけど
カイロに暖めてもらったから今は俺もカイロになった、
ありがとう!」


「何だソレ!」


笑い合う私達


すんごい



幸せだよ


空を見上げると
綺麗な星が広がっていた


お兄ちゃん……?

怒ってるかな?

何やってんだ。
さくらって。


そりゃあ怒るよね?



…ハア…。

幸せなハズなのにな

何なんだろ
このため息


「わたる君の事
考えてるでしょ?」


店長にズバリ当てられて
ちょっと恥ずかしくなった


「……お兄ちゃんは怒ってるかなって思って」


「…ソレは……俺は何とも言ってあげられない」


「………」


「…ゴメン。俺がダメなんだ。
俺が一線を越えた関係になっちゃいけないってちゃんとケジメ付けてれば良かったんだ。
ゴメン。本当にゴメン。
こういう関係になって
さくらちゃんが幸せになれる訳ないのに。」


寂しそうな店長の声。


聞きたくないよ。

今。
同じ気持ちになれたのに

イヤだよ



「それでも私は、幸せです」




「…それは俺も同じだよ。」

北風の寒さに
負けてしまいそうな
私達の声

でもしっかり2人には伝る


―――愛

理屈じゃ説明出来ない
好きの気持ちだけで動いた




ゴメンなさい。


私は


この人が仕方無い位好きです






「良いです。
店長に家族が居ても。
家族の……次の存在にしてもらえませんか?」






「………さくらちゃんはソレで良いの?」

「はい」

「…ありがと…
さくらちゃん。
こんな俺でゴメンね。
…精一杯愛すから」

「はい。
愛されますね。」

笑顔を見せると
店長も笑顔になった


鏡みたいで
また少し幸せな気分になった