携帯を握りしめて
店長からの
着信を待つ私。


今日はお母さんもお父さんも
仕事だからちょっと広めのリビングで1人なんだ。


…まだかなあ~?


待ってる内に
テレビドラマが始まっていた

木10のドラマ。
もうこんな時間なんだ

家族の愛を題材としたドラマ

…家族愛か

……

急に罪悪感が重くのしかかる

………別に良いよね?

電話くらい。


………店長の奥さんはどう思う?


あんなに思ってたのに。


特別な関係にはなりたくない


って

わがままだよね私?

急に良い感じになったら
自分の欲望が出てきた


駄目だよ、
さくら、

店長には家族がいる


これ以上…仲良くなっちゃ

駄目だよ


でも
どうしよう

店長が……
恋しいよ


―――プチッ

勢いよく
テレビの電源を切って
階段を駆け登った


自分の部屋が1番落ち着く

ベッドに潜りこむ


あっ

私しっかり
携帯持って来てるじゃん


自分のちゃっかりしてる所が
妙に腹立たしかった


―――♪

着信 店長

携帯の画面に
明るく映し出された

愛おしい文字


……どうしよう

でも電話だけだよ?

それくらい
良いよね?


―――「はい?」

「さくらちゃん?」