好きな人の家で
朝ご飯を食べて
のんびりして
私にとっては
幸せな時間。
でも
本当は幸せな家族が
幸せな時間を作るはずの
家なんだ

隣に店長がいるのに
そんな事考えちゃう


「さくらちゃん?
どうした?
元気ないやん」

首をかしげて
私の顔を覗き込んだ

店長は
いつでも
優しい

「うんん!
大丈夫だよ!」


「うそつけ!どうしたん?そんな顔見たないわ!」

そう言って
ギュッと強く強く
抱きしめてくれた

「…痛いよ」

「じゃあ何考えてんのか正直に話して」

「ずるいよ、」

「ずるないわ、
早く言わないと力強めるよ」

ばか

言える訳無いじゃん、


奥さんが羨ましいなんて
家族が羨ましいなんて
優しい店長の事だから
きっと困っちゃうよね

沈黙を破ったのは
店長だった

「…何でなんやろな」

「…?」

「いっつもこうやんな。
幸せなのに
最後はこんな風に悲しくなるやんか」

「…うん」

「ホンマは分かってんねん、
それが…」

―――♪

明るい電話の音が
家中に響いた

2人してビクッとして
ちょっとだけ
笑い合った


「ちょっと待ってな」


電話に向かう店長が
凄い遠くに
行っちゃうみたいな
そんな気持ちに包まれた