先生はそう言ってから、練習している先輩たちを歩きながら練習風景を見ていた。
 見学者は、私のほかに五名いた。よく見ると、変わった人達だった。
 お団子頭の子は練習風景を眺めていた。天パのショートの子は目をどこか見て、本を鞄から出して読んでいた。ふたり組は幼馴染で仲良さげに練習を見て、ブツブツ話していた。サラサラヘアの子は体育座りをして、卓球している先輩たちをうらやましそうに見ていた。
 私はもしこの人たちが入部してきたら、全員と話が合うのか。私は不安でしかなかった。
「見学者の子たちも来て!」
 先生はおいでおいでと手で誘っていた。
 私たちははい!と返事をして急いで、先生がいる場所まで走った。
「見学者の子も来たわね。そろそろ、試合するからね、いい?それで、長谷くん!」
先生は途中からやってきた長谷くんという男子を呼んだ。振り向くと、その男の子は頭を下げて、すいませんと言っていた。
「すいません。遅れました!」
 はぁはぁと息を切らして、先生に礼をして謝った。
「大丈夫よ。今から試合始めようと思ってたの。長谷くんも参加してくれる?」
 先生は長谷くんの顔色を見てから、聞いていた。
「いや…いいですけど。オレ、男子ですけどいいですか?」
 長谷くんは自分のことを指さして、聞いた。
「ああ、長谷くんはこの子たちの試合を見てほしいの。それを見た感想を教えてほしくて」
先生は長谷くんに言う。
「分かりました」
 長谷くんは頷いてから返事をした。
「長谷くんは小さい頃から卓球やってきて、小学高学年で一位まで取ったいわゆるエース」
 先生は先輩たちに言ってから、始めるよ~と両手を叩いて、みんなに叫んだ。
 先輩たちは、先生の声で自分の定位置についた。
 事前に先生から試合するメンバーは指定されていたようで、すぐその位置についた。