他愛ない事を話していると、いつの間にかそれぞれの家への帰宅路の分岐点だった。

どうやら楽しい時間が早く過ぎるというのも本当らしい・・・。


「じゃあ夏海、また明日な。
気をつけて帰れよ。」

本当は家まで送って行こうと思うのだが、それは悪いからと、遠慮されるのがお決まりだ。

「ありがと。結城こそ勉強サボるなよ~
いいとこ受けるんなら頑張んなきゃね」

「おう。そういえば、夏海は大学結局どこにしたんだっけ?」

「ん?・・・あぁ・・・まぁ、うん。
そのうち話すね・・。
バイバイ」

「じゃあな」

夏海の態度が少しおかしかった様な気がしたが、本人が何も言わない以上菊わけにもいかない・・・まぁそのうちって言ってたし、気にする必要ないか。



・・・・この時、ちゃんと聞いておけばよかった・・・・かな?




翌日、珍しく夏海が欠席だった。

もしかして昨日様子がおかしかった気がしたのは、風邪でも引いていたんだろうか。


まぁ彼氏でもない男がお見舞いなんて、差し出がましい気がするし、何より俺はそんなキャラでもないよな・・・。

何事もやる気なさげな俺がお見舞いなんか行ったら、夏海に冷やかされるに違いない。



友達との会話に興ずるうちにそんなことも頭の片隅に追いやられ、つつがなく一日が終わろうとしていたが、それは放課後にやってきた。


ちょうど夏海の欠席について、夏海と仲の良い文香と話していた時の事だった。

「結城はなにか夏海から聞いてる?私、今日夏海と買い物行く予定だったんだけどなぁ・・・・なんかメールも返ってこないんだ・・・」

「文香もないも聞いてないのか。
まぁ、風邪が酷いのかもな、それにこの時期だから受験のこととかいろいろ忙しいんだろ」

「そうだね・・・夏海は受験大変だもんね・・・夏海いなくなるとなんか寂しくなるなぁ・・・。」

「え?・・・どういう意味?」

「あれ?夏海はもう話したって言ってたのに・・・ん・・・夏海から聞いてないんだったら、聞いた事はできたら内緒にしてね。

まぁ無理なら仕方ないけど・・・。」


「実はね・・・」