と、ここで運よくここで放課を告げるチャイムが鳴り響き、サディスティックな先生から解放される。

あぁ、この放課を迎えた直後の解放感がたまらない。

我ながら仕事が終わったおっさんみたいだなとは思うが、やっぱり思わずにはいられないのだ。


「結城~、さっきはお疲れ様。またイジられてたねぇ。今日は掃除当番も当たってないし、一緒に帰らない?」

「だからあの先生は俺の事大好きなんだって(笑)。 あぁ、帰ろっか。 」


そう!ちょうど今目の前にいるこいつこそ、今の生活が楽しい一番の理由かもしれない・・・・河本夏海。


関係は・・・正直微妙だった・・。


一応小・中・高と同じではあるのだが一般的にいう幼馴染というわけでもなく、むしろこれだけよく話すようになったのは高校に入ってからだ。

まぁそれなりに家は近く、最寄駅も同じである為、電車通学となった高校からは一緒に帰ることも増えたから、まぁ当然といえば当然なのだが。


こうやって一緒に帰ろうと誘ってきたりはするし、正直向こうもなんとなく好意を抱いているのか、なんでもないのか・・・。

今の関係を壊したくないという思いと彼女への想いが交錯する今は、ちょっと辛いけど、甘酸っぱい日々だった。



下校の準備を整え、二人で学校の外へと歩みだすと、辺りは薄暗くなり、綺麗な月が見られた。

「わぁ、見てみて満月だよ? この時間でこんなに綺麗に見えるなんて、なんか受験が近づいてるって感じで嫌だね~」

月明かりを浴ながら、満月を見ただけで無邪気にはしゃいでる、彼女に少しだけドキっとしてしまう。ただ、その笑顔が時折寂しげに見えた気がした。

「だ、だよなぁ・・・。

あと2ヶ月でセンター試験かぁ・・・3年生はあっという間って本当だな」