「そうそう。あの日ね、あいつ家の鍵忘れたらしくて。あの時間家に誰もいないからさ、入れないんだ。で、通ってる高校近いし、一緒に帰ってほしいって頼まれて」
「そ、そうだったんだ……仲いいんだね?」
「はは、そういうんじゃないよ。コンビニでプリン買ってーって、ねだられてた時だと思う、腕組んでるの見たってことは。末っ子だから、うまーく甘えてくんの」
「えっ、花村くんの上にもいるの?」
「うん、兄がふたり。うち、4人兄妹で」
「えええ! そうなんだ! 見てみたい……!」
さっきまでもやっとしていたのが、嘘みたいだ。今はただ、花村くんの兄妹事情が気になっているなんて。
私はとても、単純な生き物らしい。


