花村くんが眠るのは




視力、悪ければよかったかもしれない。

見たくないものまで、見えてしまうから。



「え、あ……ほんとだ」

「……彼女かな」

「そんな噂聞いたことないけど」

「でも……腕、組んでる」

「……組んでる、ね」



一緒にいるだけならまだよかったのに。視界に映る花村くんはたしかに、女の子と腕を組んでいる。自分からというよりは、相手のほうから絡められた、と表現したほうが正しいのだけれど、そんなのどっちだっていい。


だってそんなことをするのは、花村くんのことが好きなひとで。そして花村くんがそれを許しているということは、間違いなく彼女か、それに近しいひとなのだと思う。


それぐらい、私にだってわかる。



「ゆ、きちゃん……どうしよ……っ」

「もも、落ち着いて? まだ泣くのは早い」

「だってぇ……」



目が合っただけできゅんとして、触れられただけでドキドキして、馬鹿みたいだ、私。


花村くんにはちゃんと、大切なひとがいるんだ。