花村くんが眠るのは




「こ、黒板消しながら考える……っ」



ついに視線に耐えられなくなって、立ち上がった。これ以上見られたらたぶん、沸騰してしまう。「ん、わかった」という花村くんの言葉を背中に受けて、黒板の前まで早足で進んだ。


帰りのホームルームで先生が書いた連絡事項を、右端から消していく。すると日誌を書き終えたのか、「半分とっといて」と、花村くんも立ち上がってこちらまで来た。


もちろん、さっきの質問の答えはまだ思いついていない。



「貸して?」

「う、ん」

「はは、カーディガンについてるよ」

「あ……ありがと」



カーディガンについてしまったチョークの粉が、花村くんの手によって払われる。制服越しでもじゅうぶんドキドキしてしまうのに。

それなのに、花村くんは。



「あと、ここにも」

「え、」



手が伸びてきたと思ったら、そのままその手は私の頭の上に置かれて。なんと、頭にまでついていたらしい。花村くんの手が、やさしくやさしく私の頭を撫でる。いや、撫でているのではなくて、チョークの粉をとってくれているだけなのだけれど。


ドキドキ、じゃなくて、ドックンドックン。


う……こんなの、さすがに心臓、爆発しちゃうよ。