……ゆっくりと意識が浮上していく。
 瞼の向こうがもう明るい。朝だ。でもまだ目を開けたくない。
 そろそろスマホのアラームが大音量で鳴り響く頃だろう。
 嫌だな、まだ起きたくないなぁ、そう思いながら寝返りを打って、ドンと何かにぶつかった。

(……?)

 なんだろうと重い瞼を上げて。

「おはよう、コハル」
「!?」

 眩しい笑顔がすぐ目の前にあって一気に覚醒する。

(――そ、そうだ。ここは異世界だった!)

 昨日は私のほうが先に目覚めたからまだ良かったけれど、こうして寝起きの顔を見られるのは相当に恥ずかしい。
 というか、やっぱり寝覚めに彼の整った顔はすこぶる心臓に良くない。
 いつかはこれに慣れる日が来るのだろうか……?

「お、おはようございます」

 なんとなく顔を伏せながらのそりと起き上がると、そんな私を見て彼はふっと笑った。

「コハル、寝癖が酷いことになっているぞ」
「!?」