「コハル?」
「ふぇ!?」

 パっと目を開けると、リューがこちらを見下ろしていた。

「なかなか寝室に来ないから心配したぞ」

 そのふてくされたような顔を見て慌てる。
 ついうっかり寝落ちしてしまったみたいだ。

「す、すみません!」

 起き上がると手が差し出されて、私はその手を握り立ち上がった。

「ありがとうございます」
「疲れたか?」
「はは、正直ちょっと」
「明日は少しスケジュールを緩めてもらうか」

 手を引かれながら寝室に入り私は首を振った。

「いえ、大丈夫です。向こうの生活よりは全然楽なので」
「……そこの妖精にも少し聞いたが、向こうの仕事はそんなに大変だったのか」
「メリーから?」
「あぁ……カチョーとかいうクズから酷い仕打ちを受けたと」

 そんな話までしたんだと思いながら苦笑する。

「あー、まぁ、私が要領が悪かったせいもあったんですが、人に恵まれなかったというか……でもここは私には勿体ないくらい優しい良い人ばかりなので、明日も頑張ります!」

 軽くガッツポーズを取って笑ってみせる。
 本当に、ここでの皆の優しさは恐縮してしまうくらいだ。

「それなら良かった」

 リューは私の手を握ったままベッドに腰掛け、こちらを愛おしげに見上げた。
 思わずどきりとする。