そして、どうしても残る罪悪感。
 彼のことを知る毎にその感覚は強くなっていく。

 ――コハルの存在が、いつでも俺の原動力だった。

 昼間かけてくれた言葉も本当に嬉しかったけれど。
 その間、私は彼のことを忘れていたのだ。
 あのとき交わした約束だって、当時の私は全然本気にしていなかった。

 それを知ったら、彼はどう思うだろう。
 ……考えると胸が痛かった。
 
 はぁ、ともう一度溜息をついて仰向けになると、件の花瓶が視界に入った。
 メリーが全て食べきってしまったのだろう、今は花は挿さっていない。

(そうだ。メリーと一緒に庭師さんにお礼言いに行かなきゃ……あと、セレストさんにも)

 セレストさんにはアマリーのこともちゃんとお礼したいのだけど、何かと忙しそうでなかなかそのチャンスがない。

(明日は話せるといいなぁ……)

 目を瞑ってしまったのがいけなかった。
 私はそのまま眠りに落ちてしまった。



 ――声が、聞こえた。

「きっとまた会える」

 ……誰?

 おぼろげに映ったのは綺麗な銀の髪。
 でも、顔が思い出せない。

「そのときを楽しみにしているよ、コハル」

 あなたは、誰……?