(疲れた……)

 ローサたちが「おやすみなさいませ」と部屋を去って、ひとりになった私はネグリジェ姿でソファにダイブした。

「ていうか、これじゃあやってること向こうと一緒」

 つい数日前までの自分を思い出して、ふふっと笑ってしまう。

 でもここには癒しがある。
 私はソファの端っこの白いもこもこに目を向ける。
 メリーは私が部屋に戻るとすでにぷーぷーと鼻提灯を出しながら寝てしまっていた。
 私は起こさないよう優しくそのもこもこな毛並みを撫でる。

(ほんと、癒しだぁ~)

 しばらくその感触を堪能して、はぁと小さく溜息を吐く。
 ……隣の寝室に行かなければと思うけれど、また昨日のようにリューに抱き枕にされると思うとなかなか身体が動かなかった。

(嫌ではないんだけど……)

 思い出して顔が熱くなるのを感じた。

 ――彼は私の心が決まるまで待つと言ってくれた。

(私の心か……)

 リューのことは、好き……なのだと思う。
 過剰なくらい大事にされているのがわかるし、私だけに見せてくれる子供っぽいところも、昔の彼を知っているからか嫌ではない。
 それに、彼はこんな私のことを必要としてくれる。愛してくれる。
 素直に嬉しい。

 でも、私のこの「好き」という気持ちが彼と同じものなのかどうかわからない。……自信がない。
 それはこれまで誰かを愛したことも、恋をしたこともないからだ。

(恋愛経験値が低すぎる……)