「コハルさま~~!」

 寝室の内扉から隣の自分の部屋に入った途端、メリーがもの凄い勢いで飛びついてきた。

「もうお身体はなんともないですか? もう一度癒してさしあげますか!?」
「ありがとう、メリー。もう大丈夫」

 笑顔でお礼を言うが、メリーはまだ心配そうに首を傾げた。
 
「でもなんだかお顔が赤い気が」
「えっ」

 ぎくりとする。
 先ほどリューに言われた言葉が妙に胸に刺さって全身が熱くなった自覚はあったけれど、顔にも出ていただろうか。

「ううん、本当に大丈夫! メリーの癒しの魔法のお蔭。いつも本当にありがとう、メリー」
「そうですか? それなら良かったです~!」

 嬉しそうに笑ったメリーが可愛くて、私はそのもふもふな身体をぎゅーっと抱きしめた。
 と、そのときトントンと扉がノックされて顔を上げる。

「どうぞ」

 ゆっくりと扉が開き、その向こうに立っていたのは。

「アマリー!」

 私がその名を呼び駆け寄ると、彼女は真っ赤な顔で私を見つめた。

「コハル様……先ほどは、本当に申し訳ありませんでした!」

 アマリーは深く深く頭を下げた。そして。

「私などのために、本当にありがとうございました!」

 その言葉で、リューが先ほど言ったことは本当だったのだとほっとする。