「コハル……?」
「ごめんなさい」

 あんなにお父さんに憧れていたリューが、ショックを受けなかったわけがない。
 きっとすごく辛くて寂しかったに違いない。
 そんなリュー皇子を想像したら、たまらなかった。

「ごめんなさい、リュー」

 ――そのとき彼の傍にいられなかったことが、酷く悔やまれた。

「……コハルのお蔭で、なんとか頑張って来れたんだ」
「え?」

 彼が優しく微笑んでいた。

「当時はさすがに落ち込んだが、コハルをこの城に迎えなければならないからな。そのためにコハルにも皆にも認められるような竜帝を目指してきた」

 私は目を見開く。

「コハルの存在が、いつでも俺の原動力だった」

 そうして彼は私の両手を握り、言った。

「ありがとう。コハル」

 その感謝の言葉は、私にまた少しの罪悪感と大きな高揚感を与えてくれた。