これまでで一番華やかなドレスに着替えた私は、リューの待つ執務室へと向かっていた。
 
「お待たせいたしました。コハル様の御支度が整いましてございます」

 その部屋の扉を開けローサが一礼する。
 書類が山のように積まれた机の向こうにリューが座り、その傍らにはセレストさんが立っていた。
 リューもこれまで見た中で一番王様らしい高貴な印象の装いに着替えていて、そういう格好が本当に似合うなぁと思った。

(さすがイケメン……)

 その彼が立ち上がりこちらにやって来る。
 そして私の姿を見て満足げに頷いた。

「やはりコハルはそういう明るい色がよく似合うな。俺の目に狂いはなかった」
「え?」
「コハル様のお召し物は全て、陛下が自らオーダーして作らせたものでございます」

 そう言ったのはセレストさんだった。

(リューが全部自分で……?)

 私は慌てて彼を見上げる。

「あ、ありがとうございます。リューも……」

 そう言いかけて、セレストさんやローサの目があることに気付いて私はもごもごと小さく続けた。

「その衣装、とてもよくお似合いです」

 するとリューは驚いたように瞳を大きくしてから、するりとその目を逸らした。

「そ、そうか」
「……?」
「それでは行くか。あー、まずは大臣たちだったな」
「はい。すでに皆様ご到着されている頃かと」

 訊かれたセレストさんがそう答え、私は“大臣たち”という響きに改めて緊張を覚えたのだった。