「ふぅ……」

 束の間、部屋にひとりになって私は小さく息を吐いた。

(うーん。なんとなくローサたちの気持ちがわかったかも)

 私がもしここで働いていたなら、常にあんな顔をしているリューはやはり怖いと思うかもしれない。
 
(それでなくとも、ローサ達からしたらリューは社長みたいなものなんだし)

 それに、執事のセレストさん。おそらく30代前半ほどだろうか。
 彼がローサ達の直接の上司にあたるのだろうけれど、あの眼鏡ときっちりとした見た目のせいか寧ろ私には彼の方が厳しそうな印象を受けた。
 だからその二人が揃っていると近寄りがたい雰囲気というか、そういう特別なオーラがあるのは確かだ。

 でも、リューはこの国の王である『竜帝陛下』。
 その名にふさわしく威厳がないといけないのかもしれない。

(リューのお父さんも厳しい人って言ってたし……あれ? そういえば、リューのお父さんって)