「メリー、なんでリューのことそんなに嫌うの?」

 寝室から隣の部屋に移り、私は溜息交じりに腕の中のメリーに訊いた。
 リューは私の少し前に寝室を出て行った。

「奴が竜人族だからです!」

 メリーはまだ腹を立てている様子ではっきりと答えた。
 昨日、リューもそんなようなことを言っていたけれど。

(確か相性が悪いって……)

「じゃあ、リュー個人のことは嫌いじゃないってこと?」

 そう訊くと、メリーは元々円らな瞳を更に真ん円にして私を見上げた。

「あの無礼で遠慮がないところとか上から目線で偉そうなところとかまんま無駄にデカくなりやがった奴のどこに好きになる要素があるのですか?」
「そ、そっか」

 一息で言われて私は苦笑する。
 どうやら竜人族だから、という理由だけではないみたいだ。
 でもそれがわかって少しほっとしている自分がいた。

(妖精と竜人族は相性が悪いから嫌いっていうのは、ちょっと寂しい気がするし)