「コハルさま~? コハルさま~~」

 そんな不安そうな声で私はハっと目を覚ました。
 まだ夜なのか、それとも分厚いカーテンのせいか視界が暗い。

(メリー……?)

 起き上がろうとして、でも動けないことに気付く。

(え、……っ!?)

 顔を上げて、すぐそこにリューの寝顔があってびっくりする。

(そ、そうだ。昨日あのまま……)

 いつの間にか眠れたのはいいけれど、寝覚めにこれは心臓に悪い……!

(にしても、本当に整った顔してるなぁ……あの頃も可愛かったけど)

 7年前を少し彷彿とさせる無防備な寝顔を間近で見て、なんだかちょっと腹が立ってきた。
 鼻でも摘まんでやろうかと思ったときだ。

「コハルさま~~」
「!」

 やっぱりメリーの声だ。
 この寝室とメリーのいる隣の部屋は内扉で繋がっていて、その扉の向こうから不安そうな呼び声は聞こえてくる。
 メリーからしたら起きたらいきなり知らない部屋にひとりぼっち。不安になるのは当然だ。
 とりあえずこの腕から抜け出さなくてはと私はぐぐっと力を入れて彼から離れようとする。――が。