「なんというか……こんなつまらない女ですみません。リューがもし、聖女としての私を好きになってくれたのなら、」
「それは違うぞ」
「え?」

 顔を上げると、リューが少し怒ったような、真剣な顔をしていた。

「確かにコハルの聖女の力は素直に凄いと思った。でも俺がコハルに惹かれたのは、聖女だからではない」

 私は目を見開く。
 表情を優しくして、彼は続ける。

「7年前、お前は俺に一番に寄り添ってくれた。あの頃の俺は……自分で言うのもなんだが酷い悪ガキだった。でもコハルはそんな俺のことを信じ、この国のため共に戦ってくれた。あの頃の俺にとって、お前の存在がどれだけ大きく、どれだけ支えになっていたか……」

 そうして彼は少し照れくさそうに微笑んだ。

「だから、コハルが俺の求婚を受けてくれた時は本当に嬉しかった」

(うぐ……っ)

 その話を出されるとどうしても心が痛む。
 でも……。

「コハル」
「え?」

 リューが畏まったふうに私の手を取った。

「改めて礼を言わせて欲しい。7年前この国を、父を、そしてこの俺を助けてくれたこと心から感謝している」
「は、はい」

 改めて言われるとなんだか照れてしまう。