――触れてもいいか?


 リューの手が私に触れる、寸前。

「ダメです」

 そう答えると、その手はがくりとベッドに落ちた。

「コハル……」

 困ったような、いや、しょげたような顔で見つめられて、私は焦って言う。

「――な、なんで、そんなこと訊くんですか!」

 この間はいきなりキスしてきて、もう2度も抱き上げられている。
 それなのに改めてそんなふうに訊かれたら、もうそういう意味にしか聞こえないではないか……!

 するとリューはふてくされるように言った。

「いや、またコハルにリュー皇子はそんなんじゃなかったとか言われたくないからな。一応、断りを入れたんだが」
「うっ」

 そういえば今朝酔いに任せてそんな失礼なことを言ってしまった気がする。

「そ、それにつきましては、本当に失礼いたしました。その、出来れば忘れていただきたく……」

 そう謝罪し頭を下げた瞬間だった。
 ぐいと腕を引かれたかと思うと、私は彼に強く抱きしめられた。

「……!?」
「俺は、ずっとこうしてコハルに触れたかった」

 すぐ耳元でそんなふうに囁かれて、一気に全身の熱が上がる。

「7年の間ずっと、この日を夢見てきた」
「だ、ダメって言いました!」
「今の謝罪は、良いという意味に受け取ったが」
「違います!」

 薄いネグリジェ越しにリューの体温が伝わってきて、その事実がどうしようもなく恥ずかしかった。
 しかし逃げたくともがっしりと抱き締められていて動くことが出来ない。