――しかし。

(な、なにこれ……恥ずかし過ぎるんだけど!?)

 私は今、メイドさんたちに着せてもらった薄いネグリジェ姿でひとり大きなベッドの上に正座し、リューが訪れるのを待っていた。
 もう、このシチュエーションが無理だった。
 先に寝てしまおうかとも思ったけれど絶対に眠れない自信があったし、寝たふりが出来る自信もなかった。

(やっぱり、メリーに無理やりにでも起きてもらうんだったかな)

 メリーは今隣の私の部屋のソファで気持ちよさそうに寝ている。
 そのとき、トントンと控え目なノックの音が聞こえて、びくりと身体が硬直する。

「俺だ。入るぞ」
「は、はい!」

 声が少しひっくり返ってしまったかもしれない。
 入ってきたリューは再びラフな格好に着替えていて、でもベッドに座る私を見てふいに視線を逸らしてしまった。

「あー……」

 口元を隠し、何か言いたそうなリューを見て私は焦る。
 やっぱり、何か変だったろうか。――でも。
 
「いや、本当にコハルがいるのが、少し信じられなくてな」

 そこで私は彼の顔が少し赤くなっていることに気付いた。

(もしかして、リューも緊張してる……?)

 彼がこちらに近づいてくる。
 ドキドキしながらそれを見つめていると、彼はベッドに腰掛け私に手を伸ばした。

「コハル、触れてもいいか?」