見上げれば金の瞳がぎろりと光っていて。 「おっと、あんまりコハルに近づくとまた竜帝くんに怒られちゃうな。じゃ、僕はもう行くよ」 「え!? ちょっと!」 引き留める間もなく、エルは笑顔で手を振りそのままふっと消えてしまった。 (……また、お礼言えなかった) 7年前もこうやってお礼を言う暇もなく消えてしまったのだ。 でも、きっとまだ近くにいるはず。 「ありがとう、エル!」 そのとき、前を飛ぶカネラ王子が眼下に見える小さなオアシスを指差していた。