再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。


 私には出来ない。
 彼のお父さんを死に追いやった力を、彼に使うなんて出来ない。

(どうすればいいの……?)

 魔王の笑い声はその間もずっと続いていた。
 私の様子を見て気を良くしたのだろうか、その声は更に饒舌になっていった。

 《 2度目はオマエがこやつを拒絶したときか? しかしさほどの力はなくがっかりしておったところに今回の凄まじい怒りと悲しみ。いつもきっかけを作ってくれるオマエには礼を言わねばのう、聖女よ 》

「……っ」

 何か言い返したいのに、何も言えない。
 魔王の言う通りだ。
 リューの負の感情が魔王の力になっているのだとしたら、本当に全てのきっかけは私だ。