「もうすぐ着くぞ」
「え……!?」
その声に、私はハッと目を覚ました。
心地よい海風と暖かな陽射し、そしてお腹の上のもこもこメリーのお蔭で、ついうっかり寝てしまったようだ。
「ごめんなさい、私寝ちゃって」
「謝ることはない。俺の飛び方が心地よかったということだ」
そうして得意げに彼は笑った。
メリーはまだ寝ているようで、その小さな鼻からぷくうと鼻提灯が出ていた。
私も涎とか出ていなかっただろうかと口元に触れて、大丈夫そうでほっとする。
それから視線を上げて、私は目を見開いた。
日が水平線に沈みかけ、空も海も見事なグラデーションを描いていた。
「キレイ……」
「なんとか日が沈む前に城に着けそうだな」
そう言った彼の視線の先に見えたのは大陸だった。
先ず見えたのは大きな港。船もたくさん見える。
そうだ、以前帆船に乗って海を渡ったとき、この港で下りたのだ。
名前は忘れてしまったけれど、その大きな港町の上空を過ぎ、リューはどんどん大陸内部へと進んでいく。
間もなく見えてきたのは広大な森と、その向こうに聳える険しい山々、そしてその中腹に立つあの頃と変わらない壮麗な城。