カネラ王子が首を傾げる。

「でも凄いね。こんなに早く気付くなんて。さすがは聖女サマだ」
「なんで……」

 そんな言葉しか出てこなかった。
 だって、こんなことをする意味も、理由もわからない。
 わかりたくないのに。

「なんで?」

 カネラ王子が私の言葉を繰り返して、小さく笑った。

「聖女サマを手に入れるには、こうする他なかったから、かな」