宴の席にはたくさんの料理や色とりどりな果物が並び、お香だろうかとても甘い香りが漂っていた。
 王妃様は宴には参加しないようで、王様と私、リューとローサの4人で奥行きのある低いテーブルを囲み柔らかな絨毯の上に腰を下ろしていた。
 メリーは私のすぐ傍らでぐっすりお休み中だ。

(私も早く休みたい……)

 流石に疲れが限界に来たのかもしれない。お風呂に入りお腹が満たされた今、私は襲い来る睡魔と戦っていた。今ベッドに横になったら3秒で眠れる自信がある。
 しかし王様の前で失礼な態度は取れないと、私は必死に目をかっぴらいていた。

「いやしかし聖女殿が異世界に帰ってしまったと聞いたときにはもう会うことは叶わないのかと本当にがっかりしたものよ。特にあのカネラがな、元々ぼうっとした奴じゃがしばらく使い物にならなくて大変でのう」
「そ、そうだったんですか」

 楽しそうに語る王様に笑顔で相槌を打ちながら少しだけ顔が引きつってしまったかもしれない。