「そういえば、ローサはなんで竜騎士になろうと思ったの? 女性初って言ってたし大変だったでしょ?」

 するとローサはこちらに身体を向けて答えてくれた。

「わたくしの父が竜騎士だったのです」
「そうだったの! じゃあ、お父さんに憧れて?」
「そうですね。……わたくしも、父上のようにこの手で『竜の帝国』を、そして陛下をお守りしたいと思い」
「そう。今お父さんは?」

 竜騎士“だった”ということは、もう引退してしまったのだろうか。
 そんな軽い気持ちで訊いてしまったことをすぐに後悔することになる。

「……父は、先の魔王との戦いの最中……」

 そこでローサは言葉を切り目を伏せて、私は慌てる。

「あ、ご、ごめんなさい、ローサ」

 でも彼女は笑顔で首を振った。

「いえ、父は最期まで立派に陛下をお守りしたと聞いております」
「……そう」

 その後の言葉が見つからないでいるとローサはお湯から上がった。

「ありがとうございます、コハル様。お蔭でとてもさっぱりいたしました」

 その綺麗な笑顔に、私は良かったと笑顔で答えた。