「私もう上がるから、今度はローサが入って。私だって万一のときは聖女の力があるんだし」

 お湯から上がり先ほど借りたこの国の衣装を手に取りながら言うと案の定ローサは慌てた。

「そんな、わたくしのことは良いですからもっとゆっくりなさってください!」
「ローサ、私前にお願いしたよね」
「え?」

 私より少し背の高いローサの目をじっと見つめる。
 
「出来れば友達みたいに接して欲しいって。今ローサが任務中なのはわかってるし私を一生懸命守ってくれて本当に感謝してる。……でもこれは私の個人的な、友達からのお願いなんだけど」
「コハル様……」

 ローサは困ったような顔をしたあとで渋々頷いてくれた。

「では、少しだけ」
「うん!」

 私がこの国の衣装を身に纏うのを見届けてから、ローサは私にメリーを預け少し恥ずかしそうに服を脱ぎ始めた。
 さすが騎士。私と違って無駄なく引き締まった綺麗な身体をしているなぁと思わず見惚れそうになってしまう。
 愛剣をすぐ手の届く場所に置いて、ゆっくりとお湯に浸かったローサの背中に向かって言う。

「良いお湯でしょ?」
「はい、とても」

 その気持ちの良さそうな声に満足して、私はこれを機にと気になっていたことを訊くことにした。